花火大会を舞台にした作品5選│夏の夜を彩る輝きと胸に残る物語

【まとめ・特集】

はじめに

日中の暑さに外出をためらう夏。けれど、夕方になれば町のどこかで花火大会が待っています。
出店の賑わいを楽しみ、日が沈むと夜空に大輪の花が咲く。歓声と拍手に包まれて家路につく――そんな思い出が、また一つ増えていきます。

夏の夜空を彩る花火は、次の瞬間には消えてしまう、一瞬の輝き儚さが魅力。
今回は、そんな花火大会を舞台にした心に残る小説絵本を厳選してご紹介します。

『夏と花火と私の死体』乙一

九歳の夏休み、私は殺されてしまったのです――。

語り手は、なんと「自らの死体」死体の少女・五月を隠すため、友人の兄妹・健と弥生が必死に追及から逃れる姿が描かれます。この独特な視点淡々とした語り口が、物語に不思議な冷たさ美しさを与えています。

著者・乙一のデビュー作でありながら、構成力心理描写の巧みさには息を呑むばかり。
花火大会の夜、きらめく光と音の中で浮かび上がる「命の儚さ」「幼さゆえの無垢さ」背筋がゾクッとしつつも、ページをめくる手が止まらない一冊です。

『屋上のテロリスト』知念実希人

一九四五年八月十五日、ポツダム宣言を受諾しなかった日本は、東西に分断された――

それから七十年後。高校生の彰人は、屋上で出会った不思議な少女・沙希
「バイトする気ない?」と声をかけられます。軽い気持ちで引き受けたそのバイトは、やがて日本の未来を揺るがす壮大な国家計画へとつながっていきます。

冷戦時代のドイツを思わせる架空設定と、息つく暇もない怒涛の展開が魅力の一冊です。
クライマックス、夜空を切り裂くように咲く大輪の花火は、分断を越えた国の行く末と「未来への希望」静かに、そして力強く照らしているように感じられます。

『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』岩井 俊二原作・大根仁著

テレビドラマアニメーション映画化もされた人気作品。
こちらは、岩井俊二氏の原作を、アニメーション映画版の脚本家・大根仁氏が書き下ろした一冊になります。

夏の花火大会の日、典道は、ひそかに想いを寄せる同級生のなずなから「かけおち」に誘われます。しかしその計画は失敗に終わり、なずなは母親に連れ戻されてしまうことに。
典道は再び彼女を取り戻すためこの夏の一日をやり直すことを決意するのです――

作品のタイトル『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』は、花火が360度どの方向から見ても同じ丸い光景であることに由来しますが、それ以上に、登場人物たちが抱く疑問や、「もしも」によって変わる未来可能性不確実性を象徴しているように感じられます。

『ギンカムロ』美奈川護

花火が持つ力強さ、美しさ、儚さといった魅力が余すところなく表現された作品。

東京で一人暮らしをする昇一は、幼いころに花火工場の事故両親を亡くしていました。ある時、祖父からの連絡をきっかけに4年ぶりに帰郷した彼は、花火職人として修業中の風間絢と出会い、自らも花火職人への道を歩み始めます
本作では、花火の製造過程職人たちの技術が丁寧に描かれており、昇一たちの成長心の葛藤、そして花火に込められた「死者への鎮魂の祈り」へと想いが繋がっていきます

12年前の出来事から、花火に託された思いとは――本作は、希望と再生の物語です。

『わにわにのおでかけ』小風さち文・山口マオ絵

『わにわにのおでかけ』は、小風さちさんが文を、山口マオさんが絵を担当した、大人気「わにわにシリーズ」の一冊です。

主人公のワニ・わにわには、外から聞こえるにぎやかな音に誘われて、夜のお出かけに出かけます。たどり着いた先では、縁日が開かれていました。ヨーヨー釣りや金魚すくいを楽しみ、最後にはとても大きな花火が夜空とページを鮮やかに彩ります

花火に夢中になるわにわにの姿は可愛らしく、だけどちょっぴり怖い表情も魅力的です。子どもたちにとっても、大人にとっても楽しい夏にぴったりな絵本です。

まとめ

どの作品にも、力強く迫力があり、同時に儚い美しさを持つ花火が描かれていました。
ページをめくるたびに、本物の花火を見たくなる気持ちが高まります。

季節感あふれる小説を選ぶ時間は、それ自体が心躍るひとときです。
今年の夏は、夜空を彩る花火と、物語の世界、その両方を楽しんでみてはいかがでしょうか

みなさんの夏の思い出も、ぜひコメントで教えてください✨

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