笑ってリフレッシュ!現役司書が選ぶ、初心者にもおすすめの笑える本3選

小説・エッセイ

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疲れた日こそ、何も考えずに笑える本を

毎日おつかれさまです。大学図書館で司書をしている、ひらぱると申します。

私も仕事のあとは家事と育児に追われる毎日です。最近の悩みは、寝かしつけのときに下の子が「明日(平日)はトイザらスに行こうかな~」と勝手に予定を立てること。朝になると会話がリセットされているので、説得は毎日振り出しに戻ります。

そんな日に手を伸ばすのが、何も考えずに笑える本です。もし「何か、ばかばかしくて笑える本ありませんか?」と聞かれたら、迷わず差し出したいのがこの3冊です。

  • 『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦|京都の夜を舞台にした、にぎやかな青春ファンタジー
  • 『ドミノ』恩田陸|東京駅で27人と1匹が巻き起こす、偶然の大騒動
  • 『時をかけるゆとり』朝井リョウ|直木賞作家が自分の失敗を洗いざらい語るエッセイ集

どれも文庫で手に入り、予備知識もいりません。読書からしばらく離れていた人でも、数ページでちゃんと笑えます。

なお3冊目の『時をかけるゆとり』は小説ではなくエッセイですが、「笑える本」としてどうしても外せなかったので入れました。司書として区分はごまかさずにお伝えしておきます。

『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦|京都の夜に迷い込む青春ファンタジー

あらすじ

京都の大学に通う「先輩」は、同じクラブの後輩である「黒髪の乙女」に恋心を抱き、彼女の姿を追って街を奔走します。ところが自由奔放な彼女は、先輩の気持ちなどどこ吹く風。偶然を装って出会っても「奇遇ですねえ!」とにっこり笑うばかりで、距離はいっこうに縮まりません。

木屋町の飲み比べ、学園祭のカオスな一夜、古本市での奇妙な出来事。次々と巻き起こる珍事件に翻弄されながら、先輩はそれでも彼女に近づこうと奮闘します。果たしてその想いは届くのか。不思議でにぎやかな夜の物語を、ぜひ最後まで見届けてください。

2007年の山本周五郎賞を受賞し、2017年にはアニメ映画にもなった一作です。

おすすめポイント

独特のリズムをもつ文体。森見登美彦のユーモラスで芝居がかった文章は、声に出して読みたくなるほど気持ちのいいリズムを刻みます。読んでいるだけで現実を離れ、不思議な夜の京都に迷い込んだ気分になれます。

実在の京都が舞台。鴨川、先斗町、下鴨神社の古本市。街の風景と文化が随所に描かれていて、本を閉じた瞬間に「京都を歩いてみたい」と思わせてくれます。

脇役が全員おかしい。謎めいた中年紳士の李白、古本市の神様、パンツ総番長。強烈にキャラの立った面々が次々に現れて、物語をどこまでもにぎやかにしていきます。

私が吹き出した場面

一章の、偽電気ブランという謎の酒をめぐる飲み比べ。乙女が涼しい顔で杯を重ねていくところで、こらえきれずに声が出ました。何が起きているのかよくわからないのに、とにかくおかしい。この感覚が森見作品の醍醐味だと思います。

こんな人におすすめ

  • 非日常感を味わいたい人
  • 京都が好きな人、旅行気分を味わいたい人
  • 恋愛とユーモアが同居する物語を楽しみたい人

『ドミノ』恩田陸|東京駅で27人と1匹が起こす偶然の大騒動

あらすじ

舞台は真夏の東京駅。登場するのは27人と1匹という個性豊かな面々です。

一億円の契約書を待つ保険セールスマン、オーディションで下剤を盛られた子役、推理力を競う大学生、恋人との別れを決意した青年実業家、待ち合わせにたどり着けない老人、そしてその句会仲間である警察OB。縁もゆかりもない彼らが、巨大ターミナルを舞台に偶然の連鎖でつながっていきます。

小さなトラブルが次々に重なり合い、やがて大騒動へ。その展開はまさにドミノ倒し。倒れていくピースを追いかけるようなスピード感で、読み出したら止まらなくなります。

おすすめポイント

何気ない一日が大事件に変わる。誰もが「今日も平凡な一日」のつもりで東京駅を歩いているのに、一つ一つの偶然が連鎖して、最後には収拾のつかない事態へ発展します。驚きの展開が続き、ページをめくる手が止まりません。

爽快すぎる伏線回収。無関係に思えたエピソードが、後から綺麗に結びついていきます。「まさか、あのときの出来事がここにつながるとは」と唸らされる場面が何度も訪れ、読後にスッキリとした爽快感が残ります。

軽いのに読み応えがある。複雑な設定も重苦しいテーマもないので、疲れた頭でも軽快に読み進められます。恩田陸をまだ読んだことがない方の一冊目にもぴったりです。

私が吹き出した場面

終盤、全員の思惑が東京駅で一気にぶつかるところ。「もう誰にも止められない」という状態になった瞬間に、思わず笑ってしまいました。ここに向かって全部が積み上がっていたのかと、感心と笑いが同時にきます。

こんな人におすすめ

  • 群像劇や、伏線が見事につながる物語が好きな人
  • 気軽に楽しみたいけれど、内容もしっかり味わいたい人
  • 恩田陸作品の「最初の一冊」を選びたい人

なお続編として『ドミノ in 上海』もあります。こちらが気に入ったら、そのまま二冊目へどうぞ。

『時をかけるゆとり』朝井リョウ|直木賞作家が失敗を洗いざらい語るエッセイ集

どんな本?

戦後最年少で直木賞を受賞した作家・朝井リョウによる、初のエッセイ集です。学生時代の出来事から社会人になってからの珍事件まで、著者自身のリアルな体験が「ゆとり世代」の視点で綴られています。

若さゆえの失敗談も、無鉄砲な挑戦も、朝井リョウならではの鋭い観察眼とユーモラスな語り口で、ことごとく「笑えるエピソード」へ変換されていきます。

司書からひとこと。この本は単行本『学生時代にやらなくても良い20のこと』を改題した文庫版です。図書館で探すときは、どちらの書名でも引いてみてください。

おすすめポイント

爆笑必至のユーモア。何気ない日常の一コマを切り取る観察眼が冴えわたります。言葉のセンスが鋭すぎて笑いをこらえるのに必死になるので、通勤・通学中の電車で読むのは本当に危険です(経験者は語る)。

赤裸々な等身大の自虐。直木賞作家という肩書きがありながら、著者は自分の恥ずかしい体験や失敗談を飾らずに語ります。同世代の私にとっては「すごい才能の人」だったのが、読み進めるうちに「同じことで悩み、失敗し、笑っている一人の人間」に見えてきて、強い親近感を抱きました。

ゆとり世代から見える世界。1989年生まれの著者が描くのは、まさにその世代ならではのリアルな価値観です。1988年生まれの私には特に刺さりました。それでいて世代を超えて共感できる悩みや普遍的なテーマも散りばめられていて、幅広い読者が「わかる」とうなずけるはずです。

こんな人におすすめ

  • 日常の中にある小さな出来事を、ユーモラスに楽しみたい人
  • 一話が短いので、寝る前の数分だけ読書したい人
  • 世代や立場を超えて、人の価値観や悩みに触れてみたい人

まとめ|疲れた日に効く3冊

作品著者こんな気分のときに
『夜は短し歩けよ乙女』森見登美彦現実からいったん離れたい
『ドミノ』恩田陸一気に読んで頭を空っぽにしたい
『時をかけるゆとり』朝井リョウまとまった時間が取れない

勉強、仕事、家事、育児。毎日やらなければならないタスクに追われて、心も体も疲れきってしまいますよね。

今回ご紹介した3冊はどれも読みやすく、ページをめくるたびにクスッと笑える作品ばかりです。どれか一冊でも手に取ってもらえれば、ほんの数ページでも気分転換の読書タイムが楽しめます。忙しい毎日の中に、少しでも笑顔の時間が増えますように。

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