小説の中のごちそうたち|“おいしい”が詰まった物語5選
本のページをめくると、ふわっと漂ってくる湯気や、ほかほかの白ごはん、あたたかい味噌汁──。
今回は、そんな「おいしい食べもの」が魅力的に描かれている小説を5冊ご紹介します。読むときっと、お腹も心も満たされるはず。疲れた日の夜に、台所の匂いが恋しくなったときに、ぜひ読んでみてください。
①『ランチのアッコちゃん』柚木麻子(双葉文庫)
会社の上司・アッコさんとお弁当を交換することになった主人公。彼女が用意してくれるランチはどれも彩り豊かで栄養満点、そして人生のヒントも詰まっていて──。
「食べることって、こんなに元気が出るんだ」と再認識させてくれる一冊。読み終えるころには、アッコさんのように自分にも他人にもエネルギーを与えられる存在になりたくなるかもしれません。
②『昨日のカレー、明日のパン』木皿泉(河出文庫)
「喪失」を描きながらも、どこか温かく、優しい空気に満ちた連作短編集。タイトルの「昨日のカレー、明日のパン」からも滲み出る、暮らしの中の美味しさ。
登場人物たちの会話にはユーモアがあり、何気ない日常のごはんに込められた想いが、じんわり胸にしみわたります。深夜に読むと、カレーの香りがしてきそうです。
③『食堂かたつむり』小川糸(ポプラ文庫)
失恋して声を失った主人公・倫子が実家に戻り、祖母のレシピ帳を手にして開いた食堂。それは、心の再生をテーマにした、静かであたたかな物語です。
素材の選び方、料理の手順、食材へのまなざし──すべてが丁寧に描かれていて、「食は命を支えるものだ」と実感させてくれます。映画化もされており、映像で見るとまた違った味わいに。
④『和菓子のアン』坂木司(光文社文庫)
ぽっちゃり体型がコンプレックスの主人公・アンちゃんが、デパ地下の和菓子屋で働き始めるところから物語はスタート。お菓子の由来や四季折々の行事にも触れられており、知識も深まります。
和菓子の描写が本当に美味しそうで、ページをめくるたびに「桜餅食べたい…」となります(笑) ちょっぴりミステリー仕立てで読みやすく、続編もあるので、読後の楽しみが広がります。
⑤『かもめ食堂』群ようこ(幻冬舎文庫)
北欧ヘルシンキにある「かもめ食堂」は、日本人女性サチエが開いた店。最初は客が来ず、ひとり静かにごはんを作る日々ですが、やがて少しずつ人が集まり、物語が動き出します。
おにぎり、味噌汁、唐揚げ──「特別ではないけれど、ちゃんと美味しい日本のごはん」に、どこかほっとします。映画版も根強い人気があり、旅とごはんが好きな人に特におすすめです。
まとめ|読むとお腹がすく、でも心が満たされる本たち
今回ご紹介した5冊は、どれも「食べること」が物語の核になっている作品ばかりです。
- 疲れた日には『昨日のカレー、明日のパン』
- 元気を出したいときは『ランチのアッコちゃん』
- じんわりと癒されたいなら『食堂かたつむり』
- 知的に楽しみたいなら『和菓子のアン』
- 旅気分で味わうなら『かもめ食堂』
どの作品にも、「食べることは生きること」という普遍のテーマが込められています。
今年も暑さが厳しくてバテ気味の毎日ですが、おいしい本をお供にしてみませんか?📚🍙
冷たい飲み物と、読書タイムをセットにすれば、それだけでちょっとしたご褒美に。
心とお腹を満たす“おいしい物語”と、素敵なひとときをお過ごしください✨
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